2020/11/09
2020年10月25日(日)現代医療鍼灸臨床研究会にオンラインで参加させていただきました。
テーマは『不妊症に対する鍼灸最前線』です。
みかづきでは「不妊鍼灸」とか「妊活鍼灸」というコースはありません。
が、鍼灸が妊活や不妊治療に効果があると聞いたからとお問合せをいただくことはあります。
その際に説明させていただくのは
・妊娠できるツボがあるわけではない
・1回や2回鍼を受けてどうこうなることではない
・器質的異常(卵管閉塞など)がある場合には難しい
・私にできることはお身体の調子を整えること
・まずは元気な身体をつくること
こんな感じでしょうか?
これらに同意してくださった方に鍼灸を受けていただいています。
妊活や不妊治療だけではありませんが、〇〇に効果のあるツボがあって、そこに鍼をすると不調などがすぐに改善すると思われている方も多いのが現状です。
〇〇に効果のあるツボがない訳ではありませんが、それだけで不調を取り除くことができるのであれば、不調がある方はこの世に存在しません。
体質によって鍼をするツボは変わりますし、不調の原因によってもツボは変わります。
ここがとても難しいので、ずっと勉強を続けているのです。
西洋医学が浸透している現在では、病気になったら病院に行って、薬をもらって飲んだら治ると考える方がほとんどです。
が、病気になってから治療をはじめると、なかなか治らなかったり、スッキリせずに症状が残った経験は多くの方があるのではないでしょうか?
そもそも、病気になってから治すということが難しいことであって、病気にならないように日々体調を整えるということが大切だとは思いませんか?
という考え方が浸透していない訳ですから、辛いところがないのに体調を整えるということはなかなか難しいですよね。
でも、東洋医学では、そもそも不調がないという方は一人もいないと考えます。
生まれながらにして、すべての方にどこか弱い部分はあって、その弱い部分とうまく付き合いながら生きていくということです。
それは病気という程のことではない場合もたくさんあって、”みんなこれくらいのことは我慢してるんだろう”と我慢している方が多いのではないかと思います。
妊活や不妊治療で考えてみると
・冷えがある
・むくみがある
・生理痛がある
・生理不順がある
・生理前の体調不良がある
・肩こりや腰痛がある
などがあるでしょうか?
病院で診てもらうような病気ではないですよね?
でも辛い症状ではありませんか?
他にもまだまだあるとは思いますが、特に生理痛や生理前の体調不良では
・生理痛はあるけど薬を飲むほどではないから大丈夫
・周りの人も生理痛や体調不良があるからあるのが普通でしょ
というように、生理痛や生理前の体調不良があるのが当たり前だと思っている方がとても多いです。
薬を飲むほどではなかったり、仕事を休むほどでははないから大丈夫ではなくて、生理痛や生理前の体調不良はない方がよいのです。
実際、私は生理痛はありませんし、以前は生理前の体調不良がありましたが現在はありません。
鍼灸を続けていく中で、改善されている方もたくさんいらっしゃいます。
これらをただの冷えとか生理痛と思って放置しておくと、いざ妊娠を希望されたときに障害となることが多いのです。
妊娠だけでなく、これらの症状がある方は、更年期症状が強く出るタイプかもしれません。
そして、その時になって治療をはじめても、やはり改善するためにはある程度の時間がかかってしまいます。
結婚・妊娠・出産の年齢が高くなっている現在、改善するまで待つことができないという状況にもなりかねないということです。
今回の講演でも、体外受精のための採卵の前に、より長い期間、より回数を多く鍼灸治療を受けられている方の成功率が高いというお話がありました。
この鍼灸治療で何をしているのか?というと、これが体調を整える・元気な身体づくりをするということです。
鍼灸院は病院ではありませんから、病気にならなければ行ってはいけないということは全くありません。
ただ、調子が全く悪くないのに通うということはちょっと難しいことかもしれません。
でも、先程も書いたように、誰でも不調は必ずあるはずで、それをもしご自身で感じていなかったとしたら、それを一緒に探して改善するお手伝いができるところが鍼灸院です。
わざわざ不調を探すというのはおかしかもしれませんが、これも先程書いたように、病院に行くほどではない不調も含みます。
体調がよくなることで、今まで効果が出なかった治療の効果が出たり、効果が出なかった薬の効果が出たり、治療に前向きになることも報告されています。
まずはご自身のことを知ることが大切です。
そして、ご自身のことを知ったら、改善できることを探して改善していきます。
ご自身だけでは難しいことは鍼灸がお手伝いします。
元気な身体がなければ何もはじまりません。
というのも、妊娠はゴールではないからです。
妊娠したら、出産までの間、妊娠を継続しなければなりません。
無事出産されたら、あとは子育てが待っています。
体力・気力が充実していなければ大変だと思います。
不妊治療も検査や薬による身体的・肉体的苦痛は計り知れないものがあり、途中であきらめてしまう方も多いのです。
これも、体力・気力が充実していれば乗り越えられる場合が多いのです。
もちろん、鍼灸を受けるだけではなく
・運動をして体力をつける
・身体によい食事を摂る
・良質の睡眠をとる
など、日々ご自身で気を付けることができることもたくさんあります。
これらも通っていただいている間にアドバイスはさせていただけると思います。
色々と便利な世の中になり、医療も進歩し、たくさんの情報があふれてはいますが、基本的なことは変わらなくて、やはりアナログです。
何でもそうですが、基礎・基盤・土台がないのに、その上に何を重ねても崩れてしまいます。
結局、私たち人間も、元気な身体という土台がないと何もできないのです。
だから、「妊活鍼灸」でも「不妊鍼灸」でもなく、すべての方に共通な元気な身体づくりのための鍼灸なのです。
みかづきではお身体のはり・きゅうのみ受けられている方もいらっしゃいますし、美容鍼灸と併用されながらのんびりと治療されている方もいらっしゃいます。
「不妊鍼灸」とうたっていないため、今まで妊娠を希望されて鍼灸をはじめられた方はそう多くはありませんが、1~2週間に1回のペースで、ほとんどの方が1年以内に妊娠されています。
現在進行形の方を除けば、今まで残念ながら妊娠に至らず途中で来られなくなってしまった方は1名のみです。
時間がかかりますよと説明はさせていただいてはいましたが、数ヶ月で来られなくなってしまい、妊娠されて来られなくなったのであればいいなと思っています。
もちろん、すべての方に同じような結果が期待できるわけではありませんが、もし妊娠という結果に至らなかったとしても、元気な身体は手に入れることができるはずです。
これは間違いなく財産になります。
それから、誤解のないように付け加えておきますが、病気の方はダメだと言っているわけではありません。
病気がちだったり身体が弱い方は、日々のご自身の身体の変化に敏感で、うまく付き合っていらっしゃる方が多いように思います。
元気な身体が当たり前と思われていないため、体調がよい日々に感謝されている方も多いです。
病気は人を不幸にするものではなく、本来はこうして色々なことに気付かせてくれるものなんだと思います。
そして、最後になってしまいましたが、私自身は39歳で結婚したため子供は諦めました。
妊娠・出産・子育ての経験がないため、妊活や不妊治療、妊婦さんのケアや小児はりをすることにずっとためらいがありました。
でも、決して子供が嫌いではないですし、むしろ自分が諦めたことをがんばっている方々を応援したいという気持ちは年々強くなってきました。
妊娠・出産・子育ては本当に大変だと思いますが、100%気持ちを理解することはできません。
でも、これは経験がある方でも理解できない部分もあると思います。
むしろ、理解はできなかったとしても、客観的に考えられたり、一緒に考えたり、自分にできなかったことを疑似体験させていただけることは本当にありがたいです。
妊娠の報告を受けた時は、自分のことのようというよりは、孫ができたような気持ちにさせていただいています。
分からないこともあるかもしれませんが、わからないことは素直にわからない、私にはできないことはできないときちんとお伝えします。
分かる方に聞いたり、調べたり、専門家をご紹介させていただいたり、出る限りのことはさせていただきます。
最近はっきりした私のポリーシーは『嘘はつかない』ということです。
時に厳しいこともお伝えするかもしれませんし、調子いいこと言ってるなと思うこともあるかもしれませんが、嘘はつきません!!
まだまだ結婚すら考えていないのに妊娠なんて考えられないと思う方も多いとは思いますが、生理が始まったら妊活!!と私は思っています。
生理や妊娠の正しい知識を教えてくれるとこともありません。
ぜひ、お近くの鍼灸院でも構いませんので、元気な身体づくりのために足を運んでみてください。
その際にはぜひ、全身をきちんと診て治療してくださる鍼灸院を探してくださいね。
もちろん、みかづきにお越しいただけると嬉しいです。